
予防こども歯科
予防こども歯科
成人の定期検診では、むし歯や歯周病の早期発見・早期治療、そしてクリーニングが主な目的となります。一方、小児の定期検診では、これらに加えて以下のような重要な目的があります。
歯並びが悪くなる原因には、さまざまなものがあります。
たとえば、
・遺伝的要因
・歯の先天的な欠如(先天欠損)
・指しゃぶりや口呼吸などの悪習癖
・顎や歯への外傷
・むし歯による早期喪失
・生え変わりの異常(生え代わりのエラー)
・腫瘍などの外科的疾患
といった要因が挙げられます。
これらの中には、口腔機能の管理や習癖の改善によって予防・コントロールが可能なものや、治療によって十分に対処できるものも多く存在します。早期に原因を把握し、適切な対応を行うことが、将来のきれいな歯並びにつながります。
生えたての永久歯は、まだ歯質が未成熟なため、高濃度のフッ素に触れることで歯質そのものが強化され、将来むし歯になりにくい強い歯へと育っていきます。
しかしこのフッ素の効果が高く得られるのは、歯が生えてからおおよそ2年間までとされており、その期間を逃すと十分な歯質強化ができなくなってしまいます。
そのため、最後の永久歯が生えてから約2年、中学校卒業頃までを目安に、定期的なフッ素塗布を継続することが望ましいとされています。
塗布の頻度は多いほど効果的ですが、通院のご都合にもよりますので、当院では月に1回の塗布をおすすめしています。定期的なフッ素ケアにより、お子さまの将来の歯の健康をしっかり守っていきましょう。
生え代わりの時期は、むし歯になりやすい要素が重なる「リスクの高い時期」です。この時期の歯は、まだ歯質が弱く、さらに歯並びがガタガタしているため、歯みがきがとても難しくなります。加えて、保護者の方による仕上げ磨きが減る一方で、本人はまだ手先が不器用で、歯みがきの意識も十分ではありません。そのため、むし歯のリスクが一気に高くなります。この時期にむし歯を作ってしまうと、将来的にその歯を一生守ることが難しくなることも珍しくありません。
だからこそ、この時期こそが「むし歯予防」において最も重要なタイミングなのです。
定期的な歯科医院でのクリーニングとブラッシング指導を通じて、この“谷間の時期”を無傷で乗り越えることが、生涯の歯の健康につながります。
乳歯のむし歯を放置すると、後から生えてくる永久歯に悪影響を及ぼすことがあります。たとえば、むし歯による炎症が原因で、永久歯の色が黄色く変色したり、乳歯の横から永久歯がずれて生えてきたりすることがあります。むし歯はできるだけ早めに治療し、もし乳歯の横から永久歯が顔を出してきた場合には、早めの乳歯抜歯が大切です。適切なタイミングで乳歯を抜歯すれば、永久歯は自然に正しい位置へ戻ろうとします。しかし、対応が遅れると、そのままズレた位置に固定されてしまい、歯並び全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
将来の歯並びを守るためにも、早期の判断と処置がとても重要です。気になることがあれば、早めのご相談をおすすめします。
乳歯は、単に一時的な歯ではなく、後から生えてくる永久歯の「場所取り」の役目を果たしています。そのため、乳歯がむし歯によって小さくなってしまうと、本来のスペースが確保できず、後から生えてくる永久歯のサイズと合わずに歯並びが乱れてしまいます。また、むし歯が進行して早期に乳歯が抜けてしまうと、本来確保されるべきスペースが周囲の歯によって閉じてしまい、永久歯が正しい位置に生えることができなくなります。
こうした歯列不正は、見た目や咀嚼能力の低下を引き起こすだけでなく、歯みがきがしにくい歯並びとなり、将来的なむし歯・歯周病のリスクを大きく高めます。
その結果、若いうちに永久歯を失ってしまうリスクが高まり、将来的に入れ歯やインプラントが必要になる可能性も出てきます。
乳歯の健康は、将来の永久歯の健康と直結しています。むし歯予防と早期対応が、将来の歯を守るためにとても大切です。
むし歯によって咀嚼能力(かむ力)が低下すると、栄養の吸収が不十分になったり、食べられるものが限られたりすることで、身体の発育や健康に影響を及ぼす可能性が高まります。幼児期から小児期にかけて、歯みがきや正しい食習慣といった基本的な“お口の保健習慣”を身につけることは非常に重要です。
保護者の方が、むし歯の早期治療や定期的な歯科検診を心がけることで、お子さまの中に自然と
「歯を守ることは当たり前」
という意識が育まれていきます。
この意識は、将来お子さまが大人になったときにも、自分の歯を守る力となって役立っていきます。
忙しい毎日の中、お子様のお口のケアを完璧に行うことは、簡単なことではありません。定期検診では、歯科医のプロの視点からチェックが受けられるため、どこにリスクがあるのかを的確に把握することができます。日頃のケアのポイントや歯を守るための知識などをお伝えしたり、不安・疑問などにお答えしたりする機会にもなります。むし歯が見つかった場合でも、定期検診の中で早期発見・治療することができれば、お子様の負担も最小限に抑えることができます。また、継続して通っていただくことで成長過程が観察でき、顎の成長や歯並びも含めてお口の中をトータルで管理することが可能です。
むし歯は、「むし歯菌」「糖分」「歯の質(むし歯へのなりやすさ)」の要素が揃うことで罹患し、この3つが揃う時間が長いほど進行しやすくなります。このバランスは人それぞれで、むし歯になる「本当の原因」が分かれば、より効果的にむし歯予防ができます。
むし歯のなりやすさには個人差があり、その原因を正しく把握することで、より効果的な予防が可能になります。当院では、以下のような項目をチェックすることで、むし歯のリスクを評価します。
当院では、ほぼすべての予防処置を保険診療内でご提供しています。お子さま一人ひとりのお口の状態やリスクに応じて、最適な予防プログラムを立案・実施いたします。プログラムの内容は個別に調整しますが、一般的には以下のような内容が中心となります。
当院では、歯みがき指導専用のエリアを設け、お子様が時間に追われることなく、集中してトレーニングに取り組める環境を整えています。お子様がどのように歯みがきをしているかを実際に確認し、磨き癖や間違った磨き方があれば、その場で修正しながら、正しい歯みがき方法を丁寧に指導していきます。
また、保護者の方にも、日々の仕上げ磨きのポイントや、お子様に合わせた歯みがきのコツなどをわかりやすくご説明いたします。
仕上げ磨きを卒業する時期になっても、自分でしっかりと正しく磨けているお子様はほとんどいません。だからこそ、正しい歯みがきの技術を身につけることは、一生の財産になります。お子様の将来の健康のためにも、ぜひ当院の歯みがき指導を受けていただくことをおすすめいたします。
普段の歯みがきで落とせない歯垢(プラーク)や歯石を、専用の機械を用いて丁寧に除去します。
むし歯に負けない強い歯をつくるために、当院では高濃度のフッ素を定期的に塗布しています。
フッ素には以下のような働きがあります。
・脱灰(歯が溶けること)の抑制
・再石灰化(歯の修復)の促進
・むし歯原因菌に対する静菌・殺菌作用
乳歯や永久歯は、生えたばかりの時期にフッ素を取り込みやすいという特徴があります。この時期にしっかりとフッ素を塗布することで、歯質の強化効果が長期的に持続し、むし歯予防に非常に効果的です。
むし歯になりやすい奥歯の溝に、フッ素成分を含んだ歯科用樹脂を流し込んで埋めることで、むし歯を予防する処置が「シーラント」です。特に、生えたばかりの奥歯は溝が深く、歯ブラシが届きにくいため、むし歯のリスクが高い部位です。
ただし、すべての歯にシーラントを行えばよいというわけではありません。歯の形や状態により、シーラントが有効な歯と、そうでない歯がありますので、お口の中をしっかり診断したうえで、必要な歯にのみ適切に処置を行います。
骨の中に異常がないかどうかを、定期的にチェックすることはとても重要です。異常が進行してからでは手遅れとなってしまうケースも少なくありませんが、早期に発見できれば外科的に対処可能なものも多く存在します。
当院には口腔外科専門医が在籍しており、単なる「様子見」で終わらせず、必要に応じて専門的な判断と対応ができる体制を整えております。これは、口腔外科の知見を持つ当院ならではの強みです。わずかな異変も見逃さず、将来の大きなトラブルを未然に防ぐことを目指します。
様々な要因で歯並びやかみ合わせに不調和が生じることがあります。「指しゃぶり」や「口呼吸」、「怪我」などが原因になることもあり、これらを早期にチェックし改善していきます。
骨の中で異常がないか定期的にチェックします。あとになるとほとんどが手遅れですが、早期に発見できれば外科的に対処可能なものも多くあります。様子見で終わらせないのが口腔外科専門医の所属する当院だからこその強みです。
歯並びの重要な要素に、口腔周囲筋の発達があります。それらの機能が年齢に応じて適切か検査をし、発達が不十分であればトレーニングをとりいれます。
当院では、お子様が楽しみながら歯の定期検診に通っていただけるよう、さまざまな工夫を取り入れています。
また、保護者の方にも気軽にご相談いただけるよう、明るく安心感のある環境づくりを心がけています。どのような疾患であっても、治療には少なからず痛みや恐怖、不安、そしてリスクが伴うものです。
だからこそ、日頃から歯科医院に通い、予防できるものはしっかりと予防してあげることが、お子様にとって大きな財産となります。
しばらく歯科検診を受けていないお子様や、これまで歯科医院にあまり行ったことのないお子様には、まずは定期検診を受けていただくことをおすすめいたします。
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